第1書[地球の書]

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ーー俺は小さい頃…母さんにこんな事を聞いた事がある。 『ねぇ…死んだヒトって何処に行っちゃうの?』 『ん~…そうねぇ……言い伝えや宗教などの文献はあるけど…お母さんは、別の世界で…もう一度…人生をおくると思っているわ」 『お母さんは別の世界があるとしんじているの?』 『そうよ…それと、リョウちゃん。あなたも多分もう少し大きくなってから気づくとは思うけど…やりたい事は…早めにやっておきなさい』 『え?何で?…』 『なんでもよ』 ……その半年後、お母さんは癌でこの世を去った ーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーー ーー 10年後、 少し肌寒い春先、俺はウトウトと少し浅い眠りの中…母さんの言葉が頭の中で反響する。 …あぁ、またあの夢か… 「ん…、昼か」 …暇だなぁ… 「失礼します。…良太(リョウタ)様おやすみですか?」 そこに、高身長で黒髪短髪の男が俺の部屋へとゆっくり入ってくる。 「んっ、西都(サイト)…大丈夫…今起きた所」 西都は俺の教育係兼世話役の俺より6つ歳上の男だ。 「そうでしたか、あ、今日旦那様が良太様が好きな柿を持って来て下さったので、私が剥きました。よろしければ食べてください」西都は俺の枕元へ剥いて持ってきた柿を置く。 俺はそれをフォークで一口ほうばる 「うん、…うまい」 「良かったです、お茶をどうぞ」 「ありがと」 俺はお茶をズズッと少し飲むとお盆の上へ置く。 「良太様、やはり病院に入院なさってください…3日前より食が細くなっていますし…」 「西都…俺はもう、1年以上長生きする事は難しい…だったら、俺はこれから先は治療はうけない、1ヶ月前にもそう言った筈だよ」 「…私は、ただ…良太様に…少しでも長く生きていただきたい、だけです…」西都は悲しそうな顔をしながら俺を見つめる。 「西都、俺はお前にそんな顔をして欲しくない…だが、俺はこの道を選んだ…反省も後悔もない、だから、見守っててくれないか?」 「……はい、この西都良太様の最期の時まで世話役の任勤めます」 「ありがとう、西都…」俺が言うと西都はいいえ、と笑顔で言うとこれから屋敷の会議だとの事で部屋から去って行った。 …それからどの位だったのだろうか?俺が目を覚ましたのは激しい胸の痛みと咳き込みで起きた 「げほ、ゴホ、っ…く、そ」 吐血がとまらねぇ! 息が、つづかね、っ やば、いっ!
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