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「うぅ……痛い……」
「……ったく」
涙目でうずくまってるソエルの頭をわしゃわしゃと撫でて、戦場……元戦場を見る。
そこには、味方兵士は辛うじて失神してる程度だが、敵兵はほぼ全滅になっていた。人の形を保ってる方が極僅かで、殆どの敵兵はミンチひき肉ペースト状となっていて……。
ごすっ
「やり過ぎだバカ」
「いったーい! これでも言われた通り手加減したのですよぅ……!」
これで手加減したとか、お前本気出したら人間とかどうなっちゃうの?
「ソエル。こいつも俺らのクラスメートだ。名前はミク・タカナシ」
「どうも」
「……おや? おやおや? ……貴方、強いですね!」
「そういうソエル先生も強いっすね。一発も当たらないし、逆に遊ばれちゃいました」
「何のなんの。貴方もまだまだ成長途中みたいですから、鍛えれば私なんてぴょーんと飛び越えちゃいますよ」
? 一体何の話をしてるんだこいつらは。
「ソエルさん、何を話してるんですか?」
「意識化でちょこーっと手合わせをですね。ミク君強いですよー。ノワくん程ではないですが」
意識化で手合わせしてる時点で俺なんかでは敵わないんじゃないか? ソエルの奴、俺のこと過大評価しすぎだ。
「まあ、ノワールとはそのうち死合い……じゃなくて試合しようぜ」
「おい、ニュアンスが違う気がするんだが」
「気のせいだ」
んな訳あるか。
「ではではー、私は副団長さんに諸々の仕事押し付けてきまーす! またねー!」
転移ではなく、身体能力だけで目の前から消えていった。つまり速すぎて見えないだけなのだが……
「ミク見えたか?」
「初動は見逃したが、飛んでった方向とかは見えたぞ」
「化け物め」
「お前が言うな」
俺なんてまだまだ化け物の域には達してないわ。
ま、これで担任と一人目のクラスメートはゲット出来たから……あと四人か。四人は……まあ思い当たるのはいるか。
「じゃあ行くか」
「次はどこにいくのだ?」
「目指すは世界最大の山、ジルーニバ山脈の頂上だ」
「ジルーニバって……奴か。そう言えば学校に行きたいとか言っていたな」
「そういうこと」
俺らと同年代なんだが、ジルーニバの頂上にある祠を護らなければならないらしく、学校に通ったことがないとか。
ならば叶えよう。その願いを。
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