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そこはおよそ考える得る限り、赤い世界。
赤く、紅く、朱く、そして、どこまでも真紅の色をしていた。
その中を、ある一人の少女が、静かに歩いていた。
その少女もこう思っていた。この世界は、一体どこまで続くのかと。終わりはあるのかと。
この世界は、今更だがどこかおかしい。地面は赤インクを吸ったかのように赤黒く、少し湿っている。木々は赤茶色く、腐り切ってしまっている。岩や砂地があるだけましだが、それもみな、協調して赤黒い。まるで、全てが血を吸ったかのような、不気味な紅。
だが、そんなことよりも、ずっとおかしな点があった。
それは、目に見えて生きている者は、彼女一人しかいない、ということであった。
いや、実は動いている物すら、彼女しかないのかもしれない(まあ、ある意味当然のことではあるが)。
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