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銀兄さんに連れられ先程までいた町に戻る事になった。色々あったけど、結果はどうあれ何とか今夜の寝床は確保出来そうなので安心する。
町に戻るや否や、町の人たちが歓迎していた。へぇー、銀兄さんって凄い人気者なんだ。歓声があちらこちらから聞こえてくるし、ひょっとして有名人? うーん、銀兄さんに強請ったらサインくれないかなぁ…。
「この町を救ってくれた勇者様だ―!」
へぇ、銀兄さんってこの町を救った勇者なんだ。
「キャー、こっち向いてー!」
あんな美人にまで慕われているなんて…。
「なんて凛々しい御姿…まさに勇者様じゃな」
あー、確かに銀髪って勇者っぽいかも。むむむ、やっぱりサイン欲しいな。後で銀兄さんに貰えないか聞いてみよっと。
色んな人たちに、もみくちゃにされながらも銀兄さんが言っていた隠れ家に無事に辿り着く事が出来た。うーん、リア充もリア充で大変なんだな。まぁ、僕には一生無縁で関わりないことだけどね。
「おう、おめぇら今帰ったぞ」
銀兄さんが言いながら隠れ家の扉を強引に開けた。何だろう、隠れ家って聞いてたから色んな想像してたけど実際に見たらちょっと洒落た居酒屋って感じがする。
扉もノブ付きのドアとかではなくて、長方形で小さな二つの木で出来た扉が左右に付いていてそれを押したり引いたりするタイプのものだ。昔ながらの西部劇とかにある酒屋に付いている扉と言った方がわかりやすいかも。
「誰だおめぇは!」
扉の前で突っ立っていたら隠れ家の中から銀兄さんの声が聞こえた。何かあったのかなと恐る恐る扉をゆっくり開け、中を覗いてみるとそこには中年男性たちが屍類類のように倒れていてその中心にはマリアが立っている。そして銀兄さんがマリアと対立するかのように睨みながら立っていた。
…ん? なにこれどういう状況なの?
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