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◇
「あー、なんか面白くねぇ」
「えっ!? な、なんで!?」
予想外の蕾斗さんの言葉にかなり焦る。
今日は蕾斗さんの誕生日だし、楽しくしようとしているつもりなのに。
ていうか、あたしは楽しいのに蕾斗さんは面白くないって、何が原因?
「やっぱり映画じゃつまらなかった?」
思い当たる理由がわからず、とりあえず映画のことを口に出してみる。
「そんなことねぇよ」
「じゃあ、何で?」
「理彩が俺以外のことを考えているからだよ」
えっ……蕾斗さん以外のこと?
何のことだろうと首を傾げるあたしに、蕾斗さんは小さく息を吐いてからまた口を開く。
「だから、理彩には俺のことだけを考えていてほしいんだよ」
「えっ!?」
ちょっぴり口を尖らせながら言った言葉にどきんっと鼓動が跳ねる。
けれど、
「あたしは、蕾斗さんのことしか考えてないよっ!」
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