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「なあ理彩、名前はどうする?」
「うーん……あっ、前にいいなって言っていた名前は覚えてる?」
生まれるまで性別を聞かなかったから、両方の名前を考えておいた。
だからもちろん、男の子の名前もいくつか候補はあった。
「何だったっけ?」
「ほんとに覚えていないの?」
一緒に考えたのに覚えていなかったことがショックで、眉を寄せてしまう。
「愛理はあたしの字をとっているから、男の子だったら、蕾斗さんから一字とって付けよう……って言ったじゃん」
ぼそぼそと呟くように話すと、
「……そうだ、思い出した」
蕾斗さんは、その大きな手であたしの左頬を覆いながら、俯き加減のあたしの顔を覗き込んできた。
「……ほんとに?」
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