トットランドのお話1「ピノキオは人間になりたくない」

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トットランドのお話1「ピノキオは人間になりたくない」

【1】ヘレッカァーン広場 ピノキオ   チーペルチーペル、ファンファンチーペル。 チーペル   なんだいピノキオ。 ピノキオ   ゼペットさんに最近会った? チーペル   ゼペットさんは逮捕されたよ。 ピノキオ   知ってたよ。理由だって知ってるんだ。捕まって当然さ。  ★ピノキオは話しながら鼻が伸びていく。ぐんぐんグングン伸びていく。 チーペル   ほざいてたよ。チーペルぅぅチーペルぅぅぅファーンファーンチーペール! わしゃ無罪じゃあぁぁ! ピノキオ   チョコラッキー。どうしたんだい?  ★チョコラッキは猛ダッシュでピノキオとファンファンチーペルのもとへ走ってきた。 チョコ   チーペルチーペル、ファンファンチーペル! ゼペットさんが呼んでるぞ!  もう四日もだ! チーペル   まだ呼び続けてるのか。 ピノキオ   僕は? 僕のことは? チョコ   知らないよ。なぜだか君のことは名前も出さない。 チーペル   きっと チョコ   君を チーペル、チョコ   守るためさぁぁぁぁぁピノキオぉぉぉぉ!  ★狂ったようにピノキオを鷲掴みにするファンファンチーペルとチョコラッキ。ピノキオは喚く。嘘を喚く。 ピノキオ   僕は人間だぞ。離さないでくれ。おっと家が燃えてるぞ。知ってるかい、鯨の胃の中には国があるんだ。空から太陽が落ちてくる!  ★鼻はぐんグンぐんグン伸びていく。その鼻は正面の誰かの家に突き刺さる。突き刺さ ったその時、ピノキオの発した言葉でファンファンチーペルとチョコラッキを身体に絡ま せたまま、誰かの家まで飛んでいった。本当のことを言ったので、ピノキオの鼻は元の長 さに戻っていくのである。 ピノキオ   僕は人間になりたくない!  ★誰かの家の壁へ衝突した。ピノキオ、ファンファンチーペル、チョコラッキは弾け飛 ぶ。かろうじて鼻が壁に突き刺さっているピノキオは二人を振り払うことはできた。 チーペル   言ってしまったぁぁぁぁ! チョコ   言ってしまったァァァァァン! チーペル   チョコラッキ! チョコ   ファンファンチーペル! チー、チョコ   逃げるしかないねん!
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