第1章

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サンドイッチにコーヒーで昼食を取り早々に席を立つ。報道番組はまだまだレイナの事を言っていた。 ガッ! 『危ない!』 カメラを持ちネタを狙っていた私は後ろから押され危うく、転けそうになった。カメラだけは守らねば!けど転げるはずみで→偶然にもシャッターを押していた私。 『森部さん、またスクープじゃない!』 『あっ、偶然です。転げるはずみでシャッターを』 『撮れないよ、こんなの』 《お見事!有名女優、街中で強盗犯お縄!》 『あれって女優のキャリーバッグが犯人の足に引っ掛かっただけなんです』 『いかつい犯人が女優共々派手に転ぶシーンってないっすよ』 『お縄っていうより、キャリーバッグが犯人を捕えた…いや犯人がキャリーバッグの取っ手に捕まった感があるけど』 『良いんだよ、そんなの。うちの会社も有名になるさ、森部さん昇り調子じゃない』 『あれは転んで…』 『蚊も殺さないような女優が犯人お縄だよ。キャリーバッグに引っ掛かろうが何でも良いさ』 そうかなぁ。 それは次の日、報道番組で伝えられる事になる。 …◇…◇…◇…◇… 『また森部なの?やっぱトップ狙ってんじゃん』 《有名俳優!事故スクープ!》 『あれは深夜のコンビニで肉まん買って外で食べてたら、たまたま駐車場でバックしてきた車が、コンビニのごみ箱にガシャンって』『有名俳優の愛車がへこんで、泣きそうな俳優の顔って普段見られないよ、クールぶってるからさ』 『本当に偶然偶然』 『なかなか撮れないって』 そのスクープは週刊誌に載ってしまった。 森部千尋、まだまだ新米記者なのに記者仲間、会社では有名になり名前がひとり歩きをしていた。
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