17人が本棚に入れています
本棚に追加
私たちは、出店の並ぶ通りに到着した。
予想していたよりも、はるかに賑わっている。
「迷惑じゃなかったら、でいいんだけど」
涼君が言いにくそうに、私から視線をそらして言った。
「はぐれないように、手をつなごうか」
「ええっ?!」
「嫌ならいいんだ。気にしないで」
「ううん、嫌じゃないの!」
私は慌てて否定する。
嫌がっていると勘違いされたら、それこそ嫌だ。
でも、何だか……涼君、いつもよりも積極的?
これも浴衣効果かな?
浴衣最高!
「ちょっとびっくりしただけ。涼君がよければ、ぜひ。はぐれちゃうと困るし」
私は、右手を涼君の前に差し出す。
その手をサッと取ってくれる涼君。
男子の手をしっかり握るのは、中学のときのフォークダンス以来で、かなり恥ずかしい。
いつもより汗をかいているけど、この汗は暑さのせいだけじゃない……かも。
でも、心はうきうきしてる。
すごく。
涼君の手は、大きくて、身体同様にがっしりしていた。
ドキドキして顔が熱くて、今にも逃げ出したいような、でもずっとこのままいたいような、説明できない不思議な気持ち。
そして、これは誰がどう見ても……デートかな。
涼君のほうから「手をつなごう」って言ってくれたってことは、少なくとも嫌われてはないということがはっきり確信できて、ちょっと安心した。
「まず、どこへ行こうか?」
涼君が聞いてきた。
「最初は、やっぱりお参りかな。神社、この先にあるの?」
「うん、もう少し先。それじゃ、お参りにいこう」
私たちは神社へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!