第1章 衝撃的告白

11/18
前へ
/243ページ
次へ
 家に着いた私は、自分の部屋に入ると、すぐに机の引き出しから、キーホルダーとポケットアルバムを取り出す。  お父さんお母さんの事故以来、ますます大事にしているものたちだったが、今となってはさらに私にとって重要な意味を持つものになっていた。  キーホルダーを、そっと手のひらに乗せてみる。  桜の花びら。  押し花。  まさかこれが自分の名前の由来になっているなど、想像もしていなかった。  そしてポケットアルバム。  ピンク色の薄い表紙を開くと、私の赤ちゃんの頃の写真がたくさん収められている。  そっか……これは、私の実の両親が撮ってくれたものだったのね。  私はポケットアルバムを閉じたが、表紙の裏側を何気なく見て、ハッとした。  約十六年前の日付と共に、「マツダイラ・カメラ店」と書かれていたからだ。  その下に、この店の住所も書かれている。  今までは、中の写真だけを見ていて、こんなところまで注意を払っていなかった。  これは、手がかりにならないだろうか。  このお店で、実の両親は写真を現像したんだろうし。  あとでおじいちゃんに聞いてみよう。  私は続いて、小さな将棋盤と将棋駒を探すために、おじいちゃんの部屋に入った。  おじいちゃんの部屋に入るのは何年ぶりだろう。  普段は用もないし、入ることはほとんどなかったから。  言われていた将棋盤と駒は、すぐに見つかった。  おじいちゃんは将棋好きで、大きくて高そうな将棋盤と駒も持っているけど、持ち運びには適さないから、そういうときはこの小さいほうの盤と駒を持っていくようだ。  おじいちゃんは、けっこう多趣味なほうだと思う。  書道や絵画にも興味があるみたいだし。  また、机の上には、きれいな切り絵と、押し花の作品も置かれていた。  そういえば、折り紙や陶芸など、自分で何か作るのが大好きなおじいちゃんのことだし、これらもおじいちゃんが作ったものなのかもしれないな。  ん?  もし、おじいちゃんも押し花に詳しいのなら……もしかすると、私の押し花キーホルダーの花びらが、どんな桜の木のものなのか分かるかも。  うーん、さすがにそれは難しいかな。  でも、とりあえず聞いてみよう。  そして私は、小さい将棋盤を小脇に抱え、将棋駒の入った箱を手に持つと、おじいちゃんの部屋を出て、病院へと引き返した。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加