17人が本棚に入れています
本棚に追加
神社では、お参りのあと、絵馬を書いたり、おみくじを引いたりした。
出店の並ぶ通りと同じく、すごい人混みだ。
隣に涼君がいるということで、「おじいちゃんが早く退院できますように」と「早く生みの両親が見つかりますように」ということだけしか、言ったり書いたりできなかったけど、本当は涼君への片思いのこともお願いしたかった。
今度、一人でまた来ようっと。
おみくじは、二人とも「吉」という、かなり良い結果だった。
確か、「大吉、吉、中吉、小吉、末吉、凶」の順だったはず。
大吉はそんなに簡単に出ないか……。
私のは「久しく深い悩みもやがて雲散霧消し、春の桜のごとく次第に喜びが広がるだろう」と書かれていた。
春の桜……悩みもやがて消える……何だか私にぴったりの内容だ!
いい感じ!
そのあと、神社を後にした私たちは、ゆっくりと出店を見て回ることにした。
まず目にとまった金魚すくいは、「しっかり育てられるか分からないし、金魚がかわいそう」ということで素通りする。
そのあと、射的のお店があって、涼君が「これやってみる」と言って立ち止まる。
模型銃を握ると、片目を閉じて狙いをつける涼君。
かっこいい!
三発目で、鹿のぬいぐるみをゲットした涼君は、それを私にくれた。
かっこよすぎる。
私は喜びのあまり、何度も何度もお礼を言った。
でも涼君は「二発外した……俺もまだまだだ」と悔しがっている。
「でも、スパイナーみたいで、かっこよかったよ!」
私は思ったまま口にしたんだけど、きょとんとする涼君。
「ああ、スナイパーだね」
な、何というミスを……。
ああっ、このままでは頭のかわいそうな子に思われてしまう!
「でも、銃を構えるあの様子、スパイっぽいから、間違えやすいよね」
涼君の優しいフォローが、心に染みる。
とほほ……。
草履忘れ事件もそうだけど、ますます私の評価が下がったよ、きっと……。
早々に挽回しないと。
最初のコメントを投稿しよう!