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清涼院家に帰り着くと、光定さんと美也子さんに玄関先でばったり会って、浴衣を褒めてもらえた。
その後、涼君と私は、二人と連れ立ってリビングへ向かう。
美優さんに草履のお礼を言うと、「気にしないで。役に立ててよかった」と言ってくれた。
涼君がおみやげのたこ焼きのパックを取り出した途端、美優さんの目がキラキラ輝く。
涼君からは「父さんの分も残しておいてね」と、美也子さんからは「もうすぐご飯だから、たこ焼きはその後にしようね」と、釘を刺されていたけど。
「それじゃ、そろそろご飯にしよっか」
美優さんがそう言って立ち上がる。
「あ、それじゃ、着替えてきますね」
私も立ち上がると、すぐに部屋へと向かった。
着替えてリビングに戻ったあと、晩御飯を美味しくいただいた。
縁日の話題で盛り上がりながら。
みんなで食べると美味しいなぁ。
その後、片付けなどが全て終わると、涼君が私に言った。
「俺の部屋でまた話そう」
「うん」
誘ってもらうだけで、うきうきしてる私。
私たちは二人で、涼君の部屋に向かった。
「あ、お茶忘れた。持って来るね」
部屋に入ると、すぐまたリビングに引き返していく涼君。
私は、涼君の部屋に一人残された。
落ち着かないので、そわそわきょろきょろしていると、涼君の机の上に飾られている写真に視線が止まる。
以前、この部屋に入らせてもらったときには気づかなかったものだ。
おしゃれな写真立てに入れられている。
何よりも私の注意を引いたのは、写真の内容だ。
そこには、涼君と………私の知らない女の子が、二人で写っていた……。
恐る恐る立ち上がった私は、写真の近くに歩み寄り、そっと覗き込んだ。
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