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写真の中の女の子は、涼君や私と同じくらいの年に見える。
涼君の手は、親しげに女の子の肩に触れていた。
涼君もその子も、身体を寄せ合って、幸せそうな笑顔を見せている。
まだ私は出会ってから日が浅いとはいえ、涼君のこんな笑顔を見たことがないように思う。
正直、ショックだった……。
彼女さん、なのかな?
そういう話は聞いていないけど、私のほうから聞いたこともないし、そもそも涼君が私に話す義務なんかあるわけがない。
だから、彼女さんがいたとしても、別に涼君が隠していたわけではないはずだ。
つまり……私は涼君にとって、やはりただの友達であり、それはどうあがいても変えることの不可能な現実かもしれないということを、深く思い知らされた。
優しくしてもらえていたのも、別に特別なことじゃなく、きっと普段から涼君は誰に対しても優しいんだろう。
手をつないでもらったり、色々誘ってもらっただけで浮かれていた自分を思い返すと、惨めで悲しかった。
気を紛らわすために、カーテンの隙間から窓の外を眺める。
外はすでに真っ暗になっていた。
門の外を走る道には、車も人も通っていないようだ。
縁日から帰ってくるときには少なかった雲が、やや増えたように感じる。
夏のお天気は変わりやすい、とよく聞くから、もしかしたらこれから雨が降るのかも。
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