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「おまたせ!」
涼君がペットボトルと二つのコップを手に、元気よく戻ってきた。
「あれ? どうしたの?」
しかし、私の様子を見て、すぐに心配そうな様子になる。
やばい……。
動揺と悲しみが、完全に顔に出てしまっていたかも。
「ううん、何でも」
「そっか、疲れもあるだろうし、大変だよね」
涼君の口調に、深いいたわりが感じられて、すぐに涙ぐみそうになる。
「俺でよければ、何でも話してね。愚痴でも不満でも不安でも、ぶつけてくれればいいから」
そう言うと、涼君は私の肩に手を置いてくれた。
すごく嬉しいはずなのに、胸が痛い。
肩に手を……。
自然と、あの写真の女の子を思い出してしまう私。
あの子の肩に置かれた涼君の手……。
我慢できずに、私は泣き出してしまった。
「気持ち、分かるよ」
涼君の優しい言葉が、逆に私にはつらい。
しばらくして、どうにか涙を止めることが出来た私は、目元をぬぐいながら言った。
「急に泣き出して、ごめんね」
「気にしないで」
やっと、少しは落ち着いてきたかな。
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