第4章 深まる恋、そして謎

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「ああ、ブログをチェックしないと」  ふと思い出した私が言う。  これには、話題をそらす意図もあった。  すぐパソコンを立ち上げてくれる涼君。  そしてチェックしてみると、なんと十七件もコメントがついている。  中には励ましのコメントもあり、すごく傷ついている私の心に、ゆっくりと染み渡っていくのを感じた。  傷ついている理由は違うけど、そんな深いことをいちいち考える余裕もなくて。  そうしてコメントを確認していくうち、一件、とても気になるものを私たちは見つけた。 「はじめまして。  歌手をやってる一髪屋陽一(いっぱつや よういち)です。  思うところありって感じなんで、メールもらえますか?」  文章はそれだけだった。  何だか、軽い調子だ。  八重桜さんのコメントと比較すると、より一層そう思う。  だけど、大事な情報かもしれないので、すぐに涼君にメールを送ってもらった。  しばし待ってみたが、すぐに返事が来る様子がない。  私たちは、コメントチェックを再開したけど、他のコメントで気になるものは見当たらなかった。 「返事待ちということになるね」  涼君が言った。 「うん」  答えた私の心の中は、別のことでいっぱいだった。  そっとうつむく私。  私は、どうしようか迷っていたのだった。  このまま、単刀直入に、あの写真のことを尋ねるのか、それともそっとしておくかを。  少し落ち着いたのは確かだったけど、依然として心にトゲが刺さったみたいな状態だったし。  こんな気持ちのまま過ごすのは、もう耐えられないと思ったから。  それに……もしかしたら、あの写真の子と、もう別れてるかもしれないと、淡い期待もあった。  もし、遠距離恋愛とか何とかで、涼君とあの子との仲がまだ続いてるのなら、私には絶望しかないけれど……。  私は勇気を振り絞って、聞いてみた。
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