第4章 深まる恋、そして謎

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「う、うわ~! ま、まさか、さくらちゃんって、一髪屋さんの娘さんかもなの?! わななきさくらちゃんだった?」 「まだ、その可能性が出たに過ぎない段階だよ。あと、最後の部分、さくらちゃんに今すぐ謝って。意味不明な上に、失礼でしょ」  その最後の部分、私は聞いてふきだしそうになったんだけど、涼君は私を気遣ってくれたみたい。  美優さんはすぐ「ごめんね」と素直に謝ってくれたので、「いえいえ、別にいいよ」と返しておいた。  実際、全く気にしていないし。  それにしても、一髪屋さんがそんなに有名な人だったなんて。  やり取りしているメールの文面を見る限り、堅苦しい人ではないだろうという想像はできたけど、それ以上の人となりは、あまり想像できなかった。  どんな人なのかな……。  私たちは美優さんにお礼を言うと、また涼君の部屋に引き返した。  涼君のパソコンでネット検索すると、色々と新情報がでてきた。  美優さんの言うとおり、『ふられた今宵に、わななき夜桜』という曲が、今から十五年ほど前に大ヒットしたらしい。  涼君と私は、当時、二歳くらいかぁ。  そりゃ、知らないはずよね。  その他にも、週間ランキングで二十位以内に入った曲が一曲だけあるらしいけど、『わななき』のインパクトが世間では強いようだ。 「そういえば思い出した。もう七年くらいは、前かなぁ。『なつかしのヒットソング一挙公開』みたいな感じのテレビ番組で、この人の過去映像を見たことがある気がする」  私も、どこかのテレビ番組で見たような記憶は、なくもなかった。  でも、最近は見ていなかった気がするし、はっきり思い出せない。  それは涼君も同意見のようだ。
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