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「おっす、あんたがさくらちゃんやな」
服装だけでなく、話し方もラフな感じだ。
「はい、初めまして。こちらは、祖父の親戚の清涼院君です」
「清涼院です。よろしくお願いします」
私たちは、頭を下げた。
一髪屋さんは、軽く手を振って言う。
「堅苦しいことは抜きにしよか。俺たちゃ、親子なんやからな」
「いえ、まだ決まったわけではないでしょうし……。その、大変失礼なんですが、根拠といいますか、私を娘だと思われたきっかけなどを教えていただけないでしょうか?」
「なんや、疑ってるんか?」
ちょっと気に障ったのかな?
何だか、今までの父親候補の八重桜さんや本間さんと違って、やりにくいというか……馬が合わないというか……そんな気が、早くも私にはしていた。
丁寧で礼儀正しい口調だった八重桜さんは言うまでもなく、本間さんも馬が合わないという感じの人ではなかったし。
本間さんは、最初はかなり無茶なことをしていたように思ったけど、差し向かいで話してみると、話しにくいような人柄ではなかったから。
まぁ、そうじゃないと、チェリーブロッサムという大きな組織を率いられないだろうし。
ボスには人望と人柄も大事だろうから。
「いえ、そうではないんです。父親の候補者が一髪屋さん以外にも、お二人ほどいらっしゃいまして」
「なんやて? どこのどいつや?」
怒ったようなキツイ口調だ。
うう、やっぱこの人、私は苦手かも……。
「それを口にするのは、そのお二人に対する礼儀を欠いていることになりますので。それで、さくらちゃんは何か証拠のようなものを、求めているのですよ」
戸惑ってる私を見て、涼君が代わりに補足説明をしてくれた。
「そかそか、声を荒げて堪忍な。いやいや、俺が親やのに、よそのワケわからんヤツらが勝手にウソついて名乗り出とったら、腹も立つやん? そこんとこは、こっちの気持ちも汲み取って許してーな。まぁ、とりあえず、座ろか。そこのベンチに適当に」
私たちは、腰を下ろした。
「ほんで、証拠出せへんと話が進まんのやろ。ほら、これでええか」
そう言うとポケットから、私たちにとっては見慣れたキーホルダーを取り出す一髪屋さん。
八重桜さんのときに一度経験していたので、今回の不意討ちにも、そのときほど私たちは驚かなかった。
まぁ、それなりには驚いたけど。
この人も持ってるんだ……。
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