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「あれ? リアクションえらい薄いやん。俺もこのキーホルダー持ってるって、すごいことちゃう?」
「ええ、はい。確かに……。でも、先ほど言いましたお二人のうちの一人の方も、同じキーホルダーを持たれてまして」
一髪屋さんに恐れを抱きつつあった私は、おずおずと言った。
「なんやて?! まさか他にもファウンテンのヤツらが………いや、なんでもない。そうか、よそのヤツも持ってたか」
ファウンテンって何だろう?
「ファウンテンというのは?」
涼君が聞いてくれた。
「いんや、なんでもないんや。忘れてんか。それより……うーん、弱ったのぅ。このキーホルダー出したら、一発で納得してくれると思っててん。『一発で』な! 俺の芸名が一髪屋なだけに、ってかぁ。ぶ、ぶわははは」
ゲラゲラ一人で笑い転げる一髪屋さん。
うう~、寒いよ~。
固まってると怒られそうだけど……でも笑えないし……。
「ほな、どうしたらええねんろ」
涼君と私は黙ったままだったけど、一髪屋さんは意外にも怒る様子はなく、困ったような表情で言った。
そこで、私は提案してみた。
「あの~。DNA鑑定はどうでしょうか?」
「なんやそれ。魚に入ってるアレか?」
それはDHAでしょ、と突っ込みたくなるのをこらえた。
「いえ、そうではなく、血のつながりがあるかどうかを調べる鑑定、みたいなものです」
「そんな便利なもんがあるんかぁ、へぇ~。科学の進歩っちゅうのはすごいもんなんやなぁ。ハイテクやん」
一髪屋さんは、何だか無性に感心しているようだ。
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