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「とりあえず、今ある手がかりはこれだけだし、このお店に行ってみるね。実の両親の名前や容貌も分からない上に、十数年前の話だし、結局何も情報が得られない可能性も高いけど……このままじっとしていられないの」
「もし、その店で何も分からなかったら、次はどうするつもりなんじゃ?」
「うーん……」
私は考え込んだ。
今のところ、これ以外の手がかりがない。
どうしたらいいんだろう。
「このお店の近くに、両親の家があるのなら、探してみたい。もちろん、どんな家か、両親はどんな人か、などの情報は一切ないんだけど……この唯一の手がかりから探していくしかないから。幸い、八月いっぱいまで夏休みだから、この休みを使ってね。色々遊びにいく予定を立ててたんだけど、とりあえずいったんは白紙にするよ」
少し考えてから、私は言った。
「気持ちは分かるが、ほんとにいいのか? お前ぐらいの年だと、思い出作りが大事だと思うし、いっぱい遊んだほうがいいとおもうんじゃが……」
「だって、気になって仕方ないもん。ほんとに、ただ一度でいいから会ってみたい。ずっと連絡を取り合おうとかは考えてないの。一度会って話せたら、それで納得するから。どんなことがあっても、私の両親は亡くなったお父さんお母さん。生んでくれた両親には申し訳ない気持ちはあるけど、これだけは変わらないんだ」
「何か……打ち明けたことを後悔しそうじゃ。ほんとによかったのか……」
おじいちゃんは複雑な表情だ。
「打ち明けてくれて、本当にありがとう」
私は心をこめて言った。
言いにくかっただろうに、しっかり伝えてくれたおじいちゃんに、本当に感謝の気持ちでいっぱいだった。
「さくらが、そう言ってくれるなら」
おじいちゃんは、笑顔を見せてくれた。
「しかし、家からこのカメラ店まで、けっこう距離がないか? このカメラ店がある街まで、頻繁に通うつもりなのか?」
たしかに、そこそこ距離があるようだった。
電車を乗り継いで、一時間半ぐらいはかかりそうだ。
「でも、このぐらいなら、しょうがないんじゃないかな」
「そうは言うが、交通費もかかるし、いちいち自宅から行くのも考え物だぞ」
うーん。
それは分かってるんだけど。
でも他にどうしようもないじゃん。
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