第6章 進む調査、深まる想い

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「ところで、おじいちゃん。何か必要なものはもうない?」 「ああ、もうすぐ退院じゃから、特にもう何もないかな。ありがとう」  退院する気、満々だぁ。  明日の検査結果、良い結果だといいな。  これだけ退院したがってるのに、引き続き入院となると、おじいちゃんはものすごく落胆するだろうし。  それに、私も引き続き心配しつづけないといけないから……。 「明日の結果、良好だといいね」 「良好になるよう願ってますよ」  涼君と私が口々に言うと、おじいちゃんは朗らかに笑った。 「ありがとな!」  そこへ、誰かが病室のドアをノックしてから、ゆっくりとドアを開けて入ってきた。  現れた人は、おじいちゃんと同じく、病院のパジャマを着た男の人で、年恰好もおじいちゃんと同じくらいだった。 「花ヶ池さん、将棋しましょうや。あら、お孫さんたちが、お見舞いに来られてたんですか! これは失礼、お邪魔し……」 「ああ、いえいえ、もういいんですよ」  帰ろうとするその人を、私が慌てて引きとめた。 「土佐さん、紹介しておきますよ。この子がわしの孫娘のさくら。で、こちらは義理の孫になるかもしれん涼君じゃ。こちらは、わしの将棋仲間の土佐さんじゃ」 「な、な、何言ってるの?!」  信じらんない。 「ヒサさん、冗談はよしてくださいよ」  涼君は恥ずかしそうな様子で、頭をかいている。  涼君にこれを冗談って言われちゃうと、実現の可能性が低いのかなぁって思う。  ちょっとブルー。  でも、肯定されたとしても、きっと涼君は本気じゃないだろうし、ただ恥ずかしいだけかも。  複雑な私。 「はっはっは、すまんすまん。ジョークじゃ。気にするな」  私はちょっと取り乱しておじいちゃんの方に近寄ってしまっていたが、慌てて土佐さんに向き直った。 
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