第6章 進む調査、深まる想い

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 プールは、思ってたよりも人で混みあっていた。 「ちょっと混んでるけど、土日よりはマシかな」  涼君が言う。  なるほど、土日はもっと混むのかぁ。 「それじゃ、水に入ろっか」  私はすぐ水に入ろうとしたが、涼君に止められた。 「待って。一応、準備運動してからね」  たしかに、それは大事だ。  うっかりしてたなぁ。  さすが、涼君。  私たちは準備運動をしてから、ゆっくりと水に入った。 「涼君は、泳ぎが得意なの?」  気になって聞いてみた。 「苦手ではないかな。一応これでも運動部だしね。まぁ普通ぐらいかな。さくらちゃんは?」  うう……聞くんじゃなかった。  また幻滅されちゃう……。 「全然ダメかも。十五メートルくらいしか泳げなくて。なぜか沈んじゃうし、息継ぎも出来ないんだよね……」 「そっかぁ……。それなら、プールじゃなく、別の場所へ行けばよかったね。ごめん……」  申し訳なさそうに涼君が言う。 「ううん、気にしないで。泳げないなりに楽しめると思うから」  私はそう言ったけど、正直、浮き輪が恋しかった。  友達と海やプールに行くとき、バッグに詰めるのが面倒だったり、すっかり忘れたりして、結局持っていかないことがほとんどなんだけど……実は、自分の部屋に浮き輪はある。  そして、「浮き輪を持ってくればよかったぁ」って、いつもこういうシチュエーションになってから思うんだよね……。  ここのプールは足がつく深さだし、溺れることは少ないはずだけど、浮き輪があるだけで安心感が格段に違うんだな、これが。 「それじゃ、つかまりたかったら、俺の腕につかまってね」 「え?」 「もしよかったら……でいいよ」  頬が熱くなるのを感じた。  心なしか、何だか涼君の顔もちょっと赤いみたいに見える。  うーん、私は意識しすぎなのかなぁ。  もっと自然にしていないとダメなのかなと思う。  でも、意識するなっていうのは難しいんだよね……。  とりあえず、涼君の腕につかまるなんて、想像するだけで恥ずかしいので、すぐには無理だった。
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