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「いつなのかな?」
私は早く涼君の考えが知りたかった。
「それは、多分……あのときだよ……。本間は運転手に化けていたでしょ。そして、車を止めて、ヤツの仲間が、俺を車から引きずり出したときだよ。あの時、俺はさくらちゃんが心配で心配で、そっちばっかり見てたわけだけど……そのとき、ヤツはさくらちゃんの左腕と口を押さえていたように思う」
すごい記憶力だ……。
「た、たしかに、そうだった気がする……」
「そのとき、付けたんだよ、きっと。ここからは推測に過ぎないけど、指先に何かの粉でも塗りつけていたんじゃないかな。それで、どさくさに紛れて、さくらちゃんの左ひじ付近に指を押し当てて、粉を塗りつけてアザのような痕跡を残した。そんな風に考えると、自然な気がする。恐らく、全てヤツの計画通りだったんだろうね」
普通の人なら実行は大変だろうし、突拍子もない計画に思えたけど……本間さんはチェリーブロッサムの首領だ。
十分あり得るように思った。
実際、私を連れ去ったやり方も、突拍子もないものだったから。
また、スマホを盗られて気づかない私が、左ひじに何かされたことに気づくとも思えないし。
情けないことに。
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