第6章 進む調査、深まる想い

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「じゃあ、本間さんが私の父親かもしれないという可能性は、低くなったのかな?」 「それは客観的にみれば何とも言えないけど……俺個人の考えだと、さくらちゃんの言う通り、本間がお父さんだという可能性は低いと思う」  涼君は、落ち着いた様子で答えた。  私はさらに質問する。 「なんで、本間さんは、こんなことをしたんだろう……」 「本間は、他の二人とは違い、DNA鑑定を受諾できない理由があったってことだよね。世間にバレてはいけないという。そういう訳で、何かしら、さくらちゃんを納得させる決定的な証拠がどうしても必要だったんだと思う。それで、こういう計画を実行して、決定的証拠だと納得させられるような証拠を、自ら作り出したのかもね。そういうことをするってことは、他に決定的な証拠がないと白状しているようなもんだから、アイツがさくらちゃんのお父さんである可能性は低いと、俺も思う。さくらちゃんの言うとおり」 「そっか、なるほど」  涼君の意見には、すごく納得できた。  そこで、涼君が、声のトーンを急に明るくして言った。 「さぁ、そんな暗い顔はもうやめようよ! 今ここで悩んでいても仕方がないからさ。来週の火曜と水曜、鑑定をしにいけば、おのずと状況は前に進むからね。八重桜さんと一髪屋さんに関しては、そこで父親かどうかがはっきりするんだから。それまでは、あまり考えすぎない方がいいよ」  涼君の言うとおりだと思った。  くよくよ悩んでいても、何にもならないよね。
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