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そのあと私たちは、そういうシリアスな話題をやめ、思う存分プールを満喫した。
しばらく水中散歩のように歩き回ったり、軽く泳いだりしていると、涼君がちらちらと遠くの方へ目をやっているのに気づいた私。
何を見てるのかな、と私も視線をそちらに向けると、ウォータースライダーがある。
もしかして、私が泳ぐのを苦手と言ってるから、ウォータースライダーで遊ぶのを遠慮してくれてるんじゃないかなと思った。
優しい涼君のことだし、きっとそうかも。
それで言ってみた。
「ウォータースライダー、行きたい?」
「え? さくらちゃんは、ああいうのは平気?」
「平気じゃないけど、涼君があっちをちらちら見てるから、『あれで遊びたいのかな』って思って。行きたかったら、私に気にせずにいってきてね。私は、もちろん見てるだけでいいから」
高所恐怖症の沙織に比べると、私は高いところも大丈夫なほうだから、多分ウォータースライダーも大丈夫だとは思うんだけど……。
何しろ今まで滑ったことがないので、そういう怖さはあったから正直に「見てるだけでいい」と言ったのだった。
もちろん、あまりにも高いところは、普通に怖いけど。
あのスライダーの高さなら、大丈夫………なはず!
「でも、俺だけ行ってくるのも申し訳ないよ。さくらちゃんが、つまんないでしょ」
「ううん、見てるだけでも楽しいと思うよ。サッカーでも将棋でも、何でもそうかも。将棋でも最近、プロ棋士の対局を見て応援するけど自分は指さないという『見る将棋ファン』という人たちも増えてきてるらしいよ。私は自分でも指せなくもないけど、どちらかというとやっぱり見ているほうが多いかな」
「うーん、そういうものかなぁ」
涼君は、懐疑的な様子だ。
なーんか、イマイチ説得しきれてない感じ。
私としては、あまり気を遣わせたくないし、涼君に楽しんできてほしいんだけどなぁ。
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