第1章 衝撃的告白

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 しばらく間があって、おじいちゃんが言った。 「その店がある街には、わしの知り合いが何人か住んでいる。わしの通っていた大学が、ちょうどその街にあったということもあってな。……そこでじゃ。そのうちの誰かの家に居候させてもらうのはどうじゃ? ここからいちいち通うよりもずっといいと思うぞ」 「ええ~! どんな人か分かんないのに不安だよ。私はおじいちゃんみたいに、誰とでもすぐ友達になれるわけじゃないから」 「嫌ならいいんじゃ。もちろん、突然かなり無茶なことを言ってるってのは自覚している」 「それに、いきなり『事情があって、しばらく居候させてほしいんですが』って言っても、そんな急に許可してくれる家なんて、ないと思うよ。うちは、しょっちゅうおじいちゃんの友達が泊まっていくけど、これはおじいちゃんが特殊なだけだよ」 「ごるぁ!! 誰が変わり者じゃ!」 「いや、特殊って言っただけで、誰も変わり者とは言ってないじゃん。思ってるだけで」 「やっぱり、思ってるんじゃないか!」  普段はツッコミタイプではないおじいちゃんでも、こうして笑いに出来る機会があれば、逃さず突っ込んでくれる。  いつものおじいちゃんに戻ってくれたみたいで、内心嬉しかった。 「わしは普通じゃ! まぁ冗談はさておき、どうじゃ? わしの知り合いの家に居候するのは」 「おじいちゃんの知り合いかぁ……。ほんとに、ちゃんとした人たち?」 「どういう意味だ、ごるぁぁ! ……っていうか、それ、わしだけじゃなく、知り合いにも失礼だぞ」  笑って突っ込むおじいちゃん。  なるほど、たしかに正論かも。  おじいちゃんの知り合いだからって、変人ばかりとは限らないもんね。
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