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しばらく間があって、おじいちゃんが言った。
「その店がある街には、わしの知り合いが何人か住んでいる。わしの通っていた大学が、ちょうどその街にあったということもあってな。……そこでじゃ。そのうちの誰かの家に居候させてもらうのはどうじゃ? ここからいちいち通うよりもずっといいと思うぞ」
「ええ~! どんな人か分かんないのに不安だよ。私はおじいちゃんみたいに、誰とでもすぐ友達になれるわけじゃないから」
「嫌ならいいんじゃ。もちろん、突然かなり無茶なことを言ってるってのは自覚している」
「それに、いきなり『事情があって、しばらく居候させてほしいんですが』って言っても、そんな急に許可してくれる家なんて、ないと思うよ。うちは、しょっちゅうおじいちゃんの友達が泊まっていくけど、これはおじいちゃんが特殊なだけだよ」
「ごるぁ!! 誰が変わり者じゃ!」
「いや、特殊って言っただけで、誰も変わり者とは言ってないじゃん。思ってるだけで」
「やっぱり、思ってるんじゃないか!」
普段はツッコミタイプではないおじいちゃんでも、こうして笑いに出来る機会があれば、逃さず突っ込んでくれる。
いつものおじいちゃんに戻ってくれたみたいで、内心嬉しかった。
「わしは普通じゃ! まぁ冗談はさておき、どうじゃ? わしの知り合いの家に居候するのは」
「おじいちゃんの知り合いかぁ……。ほんとに、ちゃんとした人たち?」
「どういう意味だ、ごるぁぁ! ……っていうか、それ、わしだけじゃなく、知り合いにも失礼だぞ」
笑って突っ込むおじいちゃん。
なるほど、たしかに正論かも。
おじいちゃんの知り合いだからって、変人ばかりとは限らないもんね。
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