第1章 衝撃的告白

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 入院準備を済ませ、部屋に戻ったら、すぐ頭にさっき聞いた衝撃的事実のことがよみがえってきた。  もちろん、おじいちゃんの入院も大きなことだ。  おじいちゃんの身体が心配なのは言うまでもないし、それに、明日からしばらくこの家でひとりぼっちになってしまうのだから。  でも………。  おじいちゃんには本当に申し訳ないんだけど、やっぱり衝撃的事実のことに、すぐ考えが戻ってしまう。  お父さんお母さんが、実の両親じゃなかったなんて……。   しかし、おじいちゃんの言うことが本当で、もし仮に、お父さんお母さんが私を生んでくれたんじゃなかったとしても……二人への私の気持ちは決して変わることはないと、強く思った。  私を愛情たっぷりに育ててくれたお父さんお母さん。  たとえ血のつながりがなくても、もう会えなくなってしまっていても、心のつながりは一生消えない。  そのことは間違いないし、はっきりしている。  それに気づくと、不思議と心は次第に落ち着いてきた。  別に……何も変わらないし、変える必要もない。  お父さんお母さん、そしておじいちゃんが、この事実を私に伏せていたことについて、気持ちは理解できた。  相当言いにくいだろうと思うし、言ったところで私を傷つけるかもしれないと考えてくれたのだろう。  で、もいつか言わないと……そう思って、みんな悩んできたのかもしれない。  私はおじいちゃん、そしてお父さんお母さんに対して、感謝の気持ちでいっぱいになった。  それと同時に湧き上がってきた、もう一つの気持ち。  実の両親にも会いたい……一度でいいから、会ってみたい……。  私は強くそう思った。
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