理想的なRatio.03

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  「あれ?もしかして…?」 F社での打ち合わせと打ち合わせの合間。 社内にギャラリーがあることもあってか、自由に見てまわっていいですよ、なんて言葉に甘えて休憩がてら社内を探検していたら、後ろから、いつかも聞いたあの声。 え、まさか?と思って振り返れば、そのまさかで。 「パスケースのお姉さん、ですよね」 私的結婚したい男No.1と、まさかの再会を果たしてしまった。 「久しぶりですね、もしかしてここで働いてるんですか?」 「いえ、取引させてもらっていてたまたま打ち合わせに…」 「へえ、もしかしてデザイナーさんとか?」 「はい…そうですけど」 やっぱり、なんかかっこいい感じしたもん。 結婚したい男No.1にとって、デザイナーはかっこいい職業らしい。 私の職業を当てて嬉しかったのか、顔を上げて視線を合わせてみると、彼は笑みを浮かべていた。 何だかテレビの中より、少し子供っぽい印象。 この間とは違って、伊達メガネを通さない綺麗な二重がパチパチと瞬きをしながら直接私を眺めている。 きっと、彼は自分のかっこよさをよく知っているんだろう。 白い肌に、あまり色を変えているのを見たことがないトレードマークの茶色い髪が綺麗に映えているし、ピンク色の唇は綺麗な弧を描いていて、口角はきゅっとアヒル口手前まで上がりきっている。 「よく、覚えてましたね、私のこと」 「そりゃ覚えてますよ、あんな風に人とぶつかったことなかったし」 お姉さんは忘れちゃってました? へらりと笑って小首をかしげた結婚したい男No.1。 あぁ、この人、女好きなんだろうな。 妙に接し方が生温い感じがするし、期待を持たせるような言い方ばかり。 「忘れてはないですけど、私ならまた会っても声はかけなかったかも」 「えー、なんで?あんなドラマみたいな出会い方して、運命かもしれないのに」  
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