episode1 御曹司と一庶民

9/12
前へ
/49ページ
次へ
最近良く聞く口癖は『資産家の家になんて生まれるもんじゃないよ面倒臭い事ばかりさ!』て言う文言…その度に私が返すのは 「三枝さんは贅沢ですよ、苦労しなくても良いのに面倒臭いとか、一般庶民から恨まれます」 そんな言葉だった。 そして、彼の携帯が鳴る。 通話内容は良くわからないけど色んな人と色んな打ち合わせやら会議やら…私には梨の礫かな。笑 簡潔に話を終わらすと何時もの席を立ち上がって 「すまない、呼び出された!行かないとならないから会計してもらえるかい?」 「あ、うん。わかりました」 VIPカードを私に手渡してくる、すぐ様レジを打ち、金額をカードで支払いそこで再び三枝さんに手渡す。 常連さんになると、信用からか、こんな事は意外に頻繁にある、最も大概は現金だけど、三枝さんに聞いたら、現金は持ち歩かないと話していた。 「じゃ、ご馳走様!」 「はーい。またお越しください」 慌ただしく店を出て車に走る、今日は運転手付きなのか、自分は助手席側に座り、スーツに白い手袋を身につけた年配の男の人が運転を代行して走って行った。 「お金持ちって良くわからない…そう思わない、千春?」 「何で?」 「今日だってさ、自分の運転じゃなくて、お抱え運転手だよ?感覚わからないじゃない」 「え、さっき言ってたじゃん、今日は幾つか予定があるからいつ呼び出されるかわからないって」 「そうだっけ?忘れた。笑」 遥のたまに出る天然。彼女も彼女で良くわからないけど、一つわかるのは悪い人間じゃないという事だ、入った当時はライバルの様な一面も見せ合ったけど、今じゃ親友みたいに仲が良い。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加