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「お買い物ですか、三枝さん?」
「あ、恥ずかしながらそうです、ちょいとスーツを間に合わせに購入しようと」
「パーティでも行かれるんですか?」
「親しい取引先なので欠席する訳にもいきませんからね」
「なるほど…」
黙り込む千春を他所に、遥はどんどん会話を進めて行く。
この辺の性格はたまに羨ましいとさえ千春は思ってきた。事ある毎にこの部分だけは千春の臆病さがでてしまい、何時も負ける。
同じサービス業者としては、遥の方が何枚も上手だった。
「千春さんもですよねー?」
機転を利かしたのか、光成は遥と会話しながら同時に千春にも話してくる。
「ですねー。今日はお店休みですから、遥と二人でショッピングですよー」
千春も何とかその会話の中に入る事が出来た。
「因みに、お二人はこの後予定空いてます?」
急に光成が、2人に対してそう聞いてきたので、遥と千春は顔を見合わせてからその質問に答えた。
「特には…何故です?」
千春がそう話すと、光成はその意図を話し始めた。
「ちょっと、自分につきあって貰えませんか…?と、言うのもその取引先は女性が多くて自分一人では心持てない…普段あまり女性と接する事が少なくて、イマイチ分かり難いんです」
「それで、私達を…千春どーしようか?」
「私に振るのそれ?」
「うん。決めるのは苦手だし、一人では行けないよ、だから千春にもきいてるんじゃない?」
「うーん…。でも、三枝さんがそー言われるなら、手伝う意味では構わないんじゃないかな、今後の為に」
全てはお店の為、千春はそう考えて言った、それに、これでまた客を獲得できれば店の安泰は約束される。
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