episode1 御曹司と一庶民

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「お買い物ですか、三枝さん?」 「あ、恥ずかしながらそうです、ちょいとスーツを間に合わせに購入しようと」 「パーティでも行かれるんですか?」 「親しい取引先なので欠席する訳にもいきませんからね」 「なるほど…」 黙り込む千春を他所に、遥はどんどん会話を進めて行く。 この辺の性格はたまに羨ましいとさえ千春は思ってきた。事ある毎にこの部分だけは千春の臆病さがでてしまい、何時も負ける。 同じサービス業者としては、遥の方が何枚も上手だった。 「千春さんもですよねー?」 機転を利かしたのか、光成は遥と会話しながら同時に千春にも話してくる。 「ですねー。今日はお店休みですから、遥と二人でショッピングですよー」 千春も何とかその会話の中に入る事が出来た。 「因みに、お二人はこの後予定空いてます?」 急に光成が、2人に対してそう聞いてきたので、遥と千春は顔を見合わせてからその質問に答えた。 「特には…何故です?」 千春がそう話すと、光成はその意図を話し始めた。 「ちょっと、自分につきあって貰えませんか…?と、言うのもその取引先は女性が多くて自分一人では心持てない…普段あまり女性と接する事が少なくて、イマイチ分かり難いんです」 「それで、私達を…千春どーしようか?」 「私に振るのそれ?」 「うん。決めるのは苦手だし、一人では行けないよ、だから千春にもきいてるんじゃない?」 「うーん…。でも、三枝さんがそー言われるなら、手伝う意味では構わないんじゃないかな、今後の為に」 全てはお店の為、千春はそう考えて言った、それに、これでまた客を獲得できれば店の安泰は約束される。
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