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話しが済んだ頃、私は三枝さんに耳打ちされた。
「こーゆーのも偶には楽しいだろ?少しはストレス軽減したかな…?」
えっ?とか思った瞬間。
何もしなくても、彼は私や遥の事を気にかけてくれてたんだ。
優しさが伝わる。
こんな御曹司見たことないや…こー言う人も居るんだね、私、少し見方を変えなきゃいけないのかも知れない。
私の知り得る御曹司は高飛車で人を見下すようなドSっぽいイメージばかりで正直いけ好かない奴としか考えてなかった。
でもそれは私の勘違いだったのかと実感する…現に彼はイメージとは真逆で、気付かない所で気を使ってくれている。
本当の御曹司って、実は彼みたいな人が意外と居るのかも…だったら違うイメージで彼を見てもいいんじゃないかな…。
何かが弾けた様な気がした。
それから約一時間半に渡る夕食会は穏やかに締めくくられ、帰る人は帰り、もう少し居たい人達はナイトタイムの余韻に耽る。
三枝さんと、私と遥はこの日の事をテラスに出て話していた。
「助かりました、二人のお陰で緊張する事なく仕事を終えた事に感謝です。」
「いえ、私達もこんな素晴らしい衣装着て数多の有名人と会話も出来たし、楽しかった。」
と、遥。
「私も!今度憂華の本店にお邪魔しようかと思います、折角、社長さんとお約束出来たので」
私は、今日一番のお土産を貰い、テンションがあがっていたのだけど…
「次は、フィアンセと来たいですね…まだ、見つけてませんが、きっと今日の様に心地良い時間を過ごせそうです。」
その言葉を聞いて良く解らないけど胸の辺りがチクッとする。
同時に感じたのは、私にそんな話なんて来ないんだろうけど今日1日を通して三枝さんの色んな部分をみた事で、彼をもっと知りたくなったと言う思い。
「あ、そうそう…その衣装はお二人に差し上げます、大事に保管してくださいね、また頼むかもしれませんから」
「言われなくてもそうしますよ、三枝さん…こんな高価なもの、私には今後手に出来ない気がしますから…」
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