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その横ではスーツ着て子供みたいに陳列されてる商品を目を輝かせて見ている御曹司らしき人がいる…多分彼の念願なのか、梅干しとおかかのおにぎりを手にした時にはそのワクワク感まで伝わる始末。
会計を済ました私の後に、彼はおにぎり二つと、これまた興味を引いたのか、ショーケースに温められて置かれていた缶珈琲を手にしてレジで会計する。
「えーと…カード使える?」
「あ、はい。」
「なら、これで…」
何ですと!
高級感漂う財布から取り出したのは一枚のカード、しかもそれ、某会社のVIP専用カードじゃないの?
仕事柄、そんな類のカードを見た事がある私は兎も角、レジを打つ店員さんの顔は緊張感で強張っていた。
「お待たせ!さ、行こうか?」
「何処へ?」
「勿論、君のお店に決まってるじゃないか…ここで会えたのも何かの縁、店まで送ってあげるから乗りなよ」
縁て、私はただ一緒に買い物に付き合って道案内しただけですけども?
腕時計を見て、歩いて帰ると食べる時間があまりなくなるからと言う事で、悪い人でもなさそうな人だから、甘えて駐車場に止まる高級車に乗り込み、ついでに店まで彼をナビしてあげた。
これが、私と彼の初対面。
そして、私が恋してしまう最初の切っ掛けの出来事。
店に到着すると、そんな高級車から私が降りてきたので仲間の従業員は一同に返して目を丸くしていた。
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