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ふと、店内を見回した。
彼は何人かの女の子に色々きいているのか、時折笑いあってはブレンド珈琲を口にしている。
「君幾つ?」
「秘密ですよー。そんな事」
「かなかな手強いねー。なんて、ま、良いや」
気にしてる訳でもないけど、お金持ちの男の子って、普段、どんな会話してるのかな?
んっ…?
これって、気にしてるって事じゃん、さっき会ったばかりなのになに考えてるんだろ私。
自分で自分がしてる行為に思わず含み笑いする。
バカバカしい…
私は適当に話を聞き流すと、厨房に入り溜まっているグラスやら食器類を洗い始めた。
「あれ、さっきの子は?」
「千春…ですか?」
「いや、名前は聞いてないからわからないけど、俺に丁寧にコンビニ商品を教えてくれた親切な彼女なんだけど…」
「だから、その娘が千春ですよ…呼びます?」
「いや、忙しいなら良いよ」
彼がそう言ったんだから必要ないじゃん!と思っていたのに、彼女、同期の磯崎遥(いそざきはるか)は私を呼ぶ。
「千春ー。お客様がお呼びだよーこっちきなって!」
本来なら断るんだけど、お客様が呼ぶなら顔を出さない訳にはいかないじゃない!全く…余計な事してくれるんだから
「はーやーくー」
「はいはい、行きますよ、行けば良いんでしょう?」
私は仕方なく、タオルで濡れた手をしっかりと拭いてから顔を出した、勿論、遥には少し睨んで見せて。
彼は、レジに立ちながら私の方をみた。
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