初恋ノート

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「美桜。はい」 何気ない無邪気な笑顔でノートを差し出す春樹くんに腹が立った。 「………なんで、黙ってたの?…なんで言ってくれなかったの…」 声を震わせながら聞いた私に帰ってきた答え。 「美桜、絶対に泣くと思って。だからって言ったあとに笑っててなんて言ったら、無理するだろ?」 潤んだ瞳で彼を見つめると、息を吸って続けた。 「……最後の宿題、ちゃんと見といてな」 踵を返して視界から消える春樹くん。 行ってしまった。 まだ伝えられてないのに。 私の初恋は、終わってしまった。 「……………」 目に涙をためて、パラパラとノートのページをめくる。 手が止まったのは、いちばん新しい宿題のページ。 私が出した問題の答えは全部正解だった。 その下には。
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