0人が本棚に入れています
本棚に追加
「美桜。はい」
何気ない無邪気な笑顔でノートを差し出す春樹くんに腹が立った。
「………なんで、黙ってたの?…なんで言ってくれなかったの…」
声を震わせながら聞いた私に帰ってきた答え。
「美桜、絶対に泣くと思って。だからって言ったあとに笑っててなんて言ったら、無理するだろ?」
潤んだ瞳で彼を見つめると、息を吸って続けた。
「……最後の宿題、ちゃんと見といてな」
踵を返して視界から消える春樹くん。
行ってしまった。
まだ伝えられてないのに。
私の初恋は、終わってしまった。
「……………」
目に涙をためて、パラパラとノートのページをめくる。
手が止まったのは、いちばん新しい宿題のページ。
私が出した問題の答えは全部正解だった。
その下には。
最初のコメントを投稿しよう!