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「政府が計画したプロジェクトに、そんな穴があるとは思えません。
もし仮に、彼女が人違いであったとしても、既にプロジェクトは動き出している。
ここでとん挫することは、我々にはできない。
信じて進むほかありません」
INUが、きっぱりと告げたが、私は進む勇気を奪われてしまった。
この女を信じて進む?
ありえない。
この不可思議な格好をする女を連れて【ONI】の前へと行ったとしても、
一瞬で殺されてしまうのは、めに見えている。
この女が危険極まりない人物であるとは思えないし、
ましてや、私が知っている【MOMOTARO】から逸脱している。
明らかに、間違いなのだ。
女は未だに耳に機械を当て続けていた。
我々の視線に気づき、照れたような笑いを浮かべる。
「あのすみません。
大変申し訳ないのですが、電波が繋がらないようでして。
社長とは連絡が取れません。
それで、社長にどういったご用件なのでしょうか?」
のほほんとしている百田桃子が、眉を寄せて我々へと近づいた。
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