ー接触ー

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「そう地球だ。君は、宇宙に浮かぶスペースコロニーの中にいる。 そして今ここは、人類暦4016年。 つまり、君がいた時代から2千年の時が経っている」 彼女は、暫く惚けたように地球を眺めた後、私とINUを交互に見つめ、告げた。 「あなたたちは、宇宙人ですか?」 彼女の質問に首を振る。 「いいや、我々は、地球人の生き残りだ。 君と同じ血と肉体を持ち、酸素を吸い生きている人間だ」 「地球人の生き残り?地球はどうなったのですか?」 「地球外生命体によって、我々は地球から撤退せざるおえなかった。 そして君は、その生命体を殺すことのできる者であるという」 「私が?何かの間違いでは?」 百田桃子は、不安げな表情で私を見つめた。 無理はない。 状況を呑みこむにはまだ時間がかかるだろう。 「我々も、君の調査が必要だと思っている。 すぐに、全てを理解するのは、少々難しいだろう。 ゆっくり時間をかけて、話をしよう」 「....はい」 彼女は頷き、部屋を出ていった。 地球を侵略した地球外生物を退治するために、一緒についてきてくれと、 彼女に告げるのは、非常に困難である。 伝説の【MOMOTARO】とは異なり、 凶暴でもなければ、危険な人間にも思えない。 どうすべきか、手をあぐねいている私をみかねたのか、 INUが、近づいてきた。私へと耳打ちをする。 「僕のほうから話をします。 大丈夫です。 きっと地球へと向かってくださいます」 そういい、部屋を出ていった。
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