ー接触ー

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INUと入れ替わり、BAがやってきた。 私は彼女の顔をみることができずに背中を向けた。 まだ心は、ウソをつけずにいる。 「勘違いしているでしょう?」 彼女はゆったりとした口調で告げる。 「何がだ?」 ここから見る宇宙の景色が美しいと感じていた。 新しい星が産まれ、死にゆく星の生き様を眺め、BAと感動を分かち合った。 だが今は一人である。 失うものなど何もない。 地球の地を踏みしめ、息絶えるのも、悪くない人生の終わり方だ。 彼女は、私を背中から抱きしめた。 大きく突き出した腹が、背中を押す。 ドクンドクンと息づく強い鼓動を感じる。 ---- 胸が苦しい。 「この子は、あなたの子供よ」 「バカを言うな、1年もの間、君とは離れていたんだ そんなことはあり得ない」 「いいえ、あなたの子供よ。 あなたからの連絡が途絶えたとき、 あなたの....冷凍保存してあった精子を使って受精をしたの。 Islandでは、本人の許可のない使用は違法だけれど...。 どうしても、あなたがいた存在が欲しかったの。 ...ごめんなさい。 何の相談もなく一人で決断したことを、謝るわ」 私を抱きしめる腕を掴んだ。 この細い指に触れられる瞬間をどんなに待ち望んだのか。 どれほど彼女を愛しているのか、思い出した。 一瞬でも疑った自分を、情けなく思う。 「私は....てっきり君が、ほかの男と一緒になったのかと」 私は肩を震わせ、涙がこみ上げることを抑えられなかった。 「バカね。 あなた以上の男なんて、この宇宙の中にどこにもいないわ」 そんな私の背中へと頬を寄せるBAへと振り返った。 「....愛してる。 必ず、必ず、戻る。 だからそれまで、私たちの子供を守ってくれ」 私の言葉に、微笑むと、瞼を閉じた。 その唇に触れたとき、宇宙にまた、新しい星が産まれた。
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