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毎日変わらない仕事。
お茶汲みして、パソコンと向き合って、書類とにらめっこして、お昼ご飯食べて、またパソコンと向き合って・・・。
こんなんじゃ日記を書くこともあんまりなさそうだな。
「椎名クン、ちょっといいかな。」
午後イチのデータ入力が終わろうとする頃、主任に呼ばれた。
「はい?」
主任のデスクまで行くと、書類の束をバサッと乱暴に投げ出してきた。
「ここさ、商品名違ってるんだよね」
私は書類を手にとって、主任に言われた箇所をよく見た。
あれ・・・これって・・・?
この商品名はたしか変更になってたはず・・・先方からもメールが来て、何度も確認したから間違いない。
「主任、この商品、今回から名称変更になったんですよ?」
私はデスクに戻ると先方からのメールをプリントアウトして主任のところに戻った。
「これ、先方からのメールです、たぶん主任のところにも届いてますよね?」
渡したメールを見ている主任の顔が赤くなっていく。
あーあ、やっちゃったかな・・・。
「メールは来てたかもしれないけど、書類を作る前に確認するのが筋じゃないの?
ほう、れん、そうって何の事かわかってる?」
出た、『ほう、れん、そう』。
嫌われ者の主任には部署内の誰もあまり相談事は持ちかけない。
大体の社員は主任をすっ飛ばして課長に話を持っていく。
それが気に入らないのだ。
「報告、連絡、相談です・・・。」
「じゃあ、なんで俺に報告も連絡も相談もないのかなぁ!?」
ヤダヤダ・・・。
単なるいちゃもんじゃない。
「まぁ、まぁ、椎名クンはちゃんと僕に報告してくれていたよ?
メールは来ていたんだから、主任もそれを確認すべきだったんじゃないかな?」
声を荒らげる主任を見かねて、課長が助け舟を出してくれた。
「そうですね・・・まぁ、課長にだけじゃなくて俺にも報告するように!」
私はわかりました、と小さく返事をして、デスクに戻った。
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