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「納得できません!」
重厚な指揮官室のデスクに力いっぱい拳を叩きつけて、狭山祐希は目の前の上司にほとんど怒鳴りつける勢いで押し迫った。
「まあまあ狭山さん、少し落ち着いて……」
柔和な顔立ちに苦笑いを浮かべて、両手を降参のポーズに上げるのは、まだ青年と言って差し支えない年齢の祐希にとっては直属の上司、大和隆三。
正確には、まだ正式採用されていない研修生の祐希にとっては上司というより教官なのだが。
上司でいいのよ!だって、採用されるのは必然だし!
通常研修を受け持った人がそのまま新人教育を務めるのが、ここ<砂漠のラクダ亭>のやり方っていうのは、ちゃんと調べがついてるんだから!
だから、だから!
間違ってもあの失礼守銭奴野郎とはこのさき関わり合いになる事なんてないと思って、ほっと胸を撫で下ろしてたのに。
「なんっで、この私がよりによって妖管理局前の<喫茶>勤務なんですか!」
確かにペーパーテストではぎりぎり合格だったかもしれないけども。
実技においては常にトップクラスだったはずで。
本当なら期待の新人として、鳴り物入りで<討伐対>勤務か、あるいは<特務隊>通称SS勤務でもおかしくないはずなのに。っていうか、自身の中ではほぼ悪くても<討伐隊>が決定事項だったのに。
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