予言

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2年前、このマンションに引っ越してきた時の話です。 引っ越してきて間も無い頃、いつものように仕事を終え、帰宅すると服を脱ぎながら留守電のメッセージを再生していました。 友達や保険会社など他愛の無いメッセージが続いた後、最後に変なメッセージが入っていました。 「今日の朝は最悪だった。あんなもの見たくなかったのに・・・」 男の声でそう入っていました。 声はくぐもっていてよく聞こえないのですが、なんとなく聞き覚えのある声でした。 「誰だろう?なんのこと言ってるんだ?」 その時はさして気にもしませんでしたが…。 翌朝、いつものように駅のホームに立って電車を待っていると、横からふらふらと歩いてきたスーツ姿の中年男性が突然ホームから飛び降りたのです。 あ!っと思った瞬間にはすでに遅すぎました。 電車は停車する時間も無くその男性をひいてしまいました。 僕は唖然としました。 ホームにいた駅員さんたちが走って来ましたが、僕の目は今まで生きていたはずの…今はただの肉塊としてる物をジッと見ていました。 その時ふと、昨晩の留守電を思いだしたのです。 【あんなもの見たくはなかった】 まさに今の僕の心 境でした。 そして、低くくぐもった上に雑音が混じっていたため気付きませんでしたが、その留守電の声は僕の声だったような気がするのです。 気味が悪かったのは言うまでもありません。 その日一日はとても憂鬱な気分でした。帰り道の電車の中では (今日も留守電が入っていたらどうしよう) 気になって仕方ありませんでした。 そして、やっぱりというか…やはりその日も留守電は入っていたのです。
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