9、日曜日のアフター・パーティー

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「七尾さん、これ適当に買ってきた」 「おー、サンキュー」  洋祐から手土産を貰って俺は微笑む。俺の顔と感情は連動しない。洋祐も口角を上げるが、まだまだ修行が足りないようで、ぎこちない。  洋祐はあれから俺を決して「ナオくん」と呼ばない。俺は洋祐とは二度と寝ないと決めている。でも俺のかわいいベイビーであることに変わりないから、これからも洋祐と会い続けるだろう。洋祐が拒絶しない限り。  ケンゾウが、ケーキを手にキッチンに来た。 「これ、どこ置く? 冷蔵庫入んないし」 「ああ、中のサラダとかパスタとかもう出すから。はは、かわいいなコレ」  ケーキには砂糖でできた赤ん坊の人形がのっている。 「なあ、カッキー」  ケンゾウがひそひそ声で俺をつついた。 「お前、何考えてんの? 今日、殺し合いとか起こらない?」 「なんだそれ。極めてハッピーな集まりに、なんでそういうこと言うかね」 「お前の心臓の強さには、驚くよ」 「しょうがねーだろ。Jはシャロンの父で、シャロンはマリの姉だ。今日はマリの誕生祝いとはいえ、赤ん坊は何もわかんないから、実質はシャロンの会なんだ。シャロンの彼氏の洋祐呼ばないわけにはいかないし。それに修司は今俺んちいるから、あいつだけハブるとまたややこしくなる。それにルーシィが開堂に会いたいって、何度も念押しされて……」  ケンゾウにスクウェア型の大皿を持たせ、耐熱ミトンをはめた手で天板をつかみオーブンから出す。トングでどんどん鶏を皿に盛っていく。一つ試しにカットしたが、中も肉汁も申し分ない。
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