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シャロンが、俺が映像をつけた曲を鼻歌で歌いながらくるくると踊りだした。
「かーわいい」
牧野が目を細める。
「おーっす」
「さっきそこで会った」
ケンゾウと洋祐がやって来た。
シャロンは玄関に走っていき、洋祐に飛びついた。Jは苦虫を噛み潰したような顔。自分が買い物から帰ってきた時と違う、熱烈歓迎っぷりが面白くないのだ。
「ヨースケ、遅ーい。ヨースケ、遊ぼうよう」
洋祐は、ニコリともせずに、シャロンの足首を掴むと、ひっくり返して逆さまにする。キャハハ、とシャロンは心底嬉しそうだった。
妹が生まれて、それまで一人っ子天国だったシャロンは、盛大にルーシィとケイティに反抗した。赤ん坊にも危害を及ぼそうとし、手に負えなくなった二人は、Jにシャロンを託した。父と娘は一足先に東京にやってきた。
「まあしょうがないわ。私も弟が生まれた時、ベビーベッドにライターで火をつけようとしたもの」というルーシィの娘は、母も認める気性の荒さだ。
そんなシャロンは、洋祐にぞっこんだ。一番時間のある洋祐がシャロンの相手をしているうちに、好きになったようだった。
「だって、ナナオにはシュージがいるでしょ? だから私、ヨースケにしたの」とはシャロンの弁。洋祐二十才、シャロン五才、年齢差十五才、俺とJの年齢差が十七だから、ありえなくはない。
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