9、日曜日のアフター・パーティー

9/15
322人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
 シャロンが、俺が映像をつけた曲を鼻歌で歌いながらくるくると踊りだした。 「かーわいい」  牧野が目を細める。 「おーっす」 「さっきそこで会った」  ケンゾウと洋祐がやって来た。  シャロンは玄関に走っていき、洋祐に飛びついた。Jは苦虫を噛み潰したような顔。自分が買い物から帰ってきた時と違う、熱烈歓迎っぷりが面白くないのだ。 「ヨースケ、遅ーい。ヨースケ、遊ぼうよう」  洋祐は、ニコリともせずに、シャロンの足首を掴むと、ひっくり返して逆さまにする。キャハハ、とシャロンは心底嬉しそうだった。  妹が生まれて、それまで一人っ子天国だったシャロンは、盛大にルーシィとケイティに反抗した。赤ん坊にも危害を及ぼそうとし、手に負えなくなった二人は、Jにシャロンを託した。父と娘は一足先に東京にやってきた。 「まあしょうがないわ。私も弟が生まれた時、ベビーベッドにライターで火をつけようとしたもの」というルーシィの娘は、母も認める気性の荒さだ。  そんなシャロンは、洋祐にぞっこんだ。一番時間のある洋祐がシャロンの相手をしているうちに、好きになったようだった。 「だって、ナナオにはシュージがいるでしょ? だから私、ヨースケにしたの」とはシャロンの弁。洋祐二十才、シャロン五才、年齢差十五才、俺とJの年齢差が十七だから、ありえなくはない。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!