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何度か経験した事があるから、直ぐに自分が置かれている状況を把握する事が出来た。
何事も経験しておくという事は、良い事なのかもしれない。
ウチは手探りで枕元にあるはずのケータイを探した。
だけど、何度まさぐってみても手にはケータイの感触が伝わってこない。
仕方なく、掛布団を跳ね飛ばし、ベッドに座るように上体を起こすと、自室を見渡す。
ケータイはベッドの下で、寂しそうにうつ伏せになっていた。
腕を伸ばしケータイを拾い上げ、ホームボタンを二度ばかり押してみるが、全く反応がない。
どうやら電源が切れているみたいだ。
ケータイの電源ボタンを長押しすると液晶画面が薄く光り出す。
電池までは切れていないようだ。
何となくだけど、寝惚けながら何度もけたたましい音を鳴らすケータイにイライラし、電源を切った記憶がある。
僅かに残る記憶によると、どうやらケータイをベッドから追い出したのもウチの様だった。
ケータイの画面に、でかでかと無機質な四つの数字が映し出されウチは、ショックのあまりフローリングの床にへたりこんだ。
入学式まで二週間もあったあの時に、どうしてウチはさっさと課題に取り組まなかったのだろうか。
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