出会い 蒼斗編

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ふぅ。 まだ、少し寒いや。 俺は、少し古びたジッポを取り出しタバコに火をつけた。 カキーン!とジッポから乾いた音が響いた。 うん、アーマージッポだとやっぱりいい音が鳴るな。 微かにオイルの香りが漂っている。 俺は、深くタバコを吸い込み、空に向かって吐き出した。 空には、無数の星が光ってる。 会社の屋上で、一人ぼっち。 座り込みゆっくりとタバコを吸っている。 なんで俺、こんな所で仕事してるんだろ。 楽しくない。 目の前のフェンスを越えれば楽になれるのかなぁ? なんて、バカな事も考えていた。 ピンポーン。 羽田さん。5番にお電話です。 社内の放送が聞こえてきた。 俺だ。 急いでタバコを消し、自分の机に戻る為、少し足早に屋上のドアを閉め階段を降りた。 階段を降りながら、後ろから屋上のドアが閉まる音が廊下に響いていた。
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