公立魔術院物語

始まりと集い。

男の速度を利用して地面に叩きつけたのであろう。動かないところを見ると男は気絶したようだ。

ふう、と息を吐き残った二人の男を見やる。黒曜石の瞳を鋭くし問いかける。

「……で？貴方方はどうします？」

「こ、このやろおおお！！」

「あ、ありがとうございます！」

「いえいえ、大した事はしていませんよ。」

表通りを素知らぬ顔で歩く少年と先ほどの少女。少女は何処か興奮冷めやらぬといった様子で、

「それにしてもお強いのですね！あの三人をまるで赤子の手を捻るようにやっつけてしまうなんて……」

「あんな赤子が居たら世の奥方達は裸足で逃げ出しますよ」

「それもそうですね！」

明るく笑う少女。突然の恐怖から解放された少女は何処か無理をしている印象。それがわかっていてと触れないのは彼の優しさ故か。