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「先程若い女性を襲うような低俗な輩などいない、と仰ってましたことで、確認をしたいのですが?」
「……何だ?」
「ここ一年から二年程の間で生徒が不祥事を起こして退学を言い渡された事は?」
「確か……なかった、筈だ。そんなことよりそれが「ここに」……ん?」
「ここに、先程襲ってきた、まあ先生はないと仰りましたが、その方達の”落し物”を拾いました。此方に見覚えは?」
「……!?こ、これは……確かに我が校の……!」
「念を推して、ですが。在校生である方からこの生徒手帳を盗む事は容易ではありませんよね?しかも、それを三つ。……ここで更に質問ですが、今日この方達は魔術院に来ていらっしゃるのですかね?」
「……少し、待ってくれないか?」
そう言って教員は一度講堂の中に入って行った。いきなり傍観者から主演に成り代わったかと思えば直ぐに劣勢を優勢に変え、完璧な演者である少年に彼女は魅入ってしまう。
それでも一つ、質問があるとすれば。
「い、いつの間に生徒手帳を……?」
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