始まりと集い。

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あの一連の騒動の中のどこで生徒手帳を掠め取ったのか、少女にはそれが不思議でならない。見た感じそのような所作は見受けられなかったのだが……。 「ああ、彼等が突っ込んできた拍子にですかね?服の上からでも何処にあるのかは何と無くわかりましたので。……おや、先生が戻ってきた様ですよ?」 遠目から教員が走ってくるのが見えた。そして、罰が悪そうな表情で、 「……確認が取れた。すまなかった。入って入学式に参加するといい。」 「は、はい!」 「どうもありがとうございます。」 二人は一礼して講堂の中へ入る。教員は二人のうち男の方を信じられないものを見るような目で見ているが、彼は知らない。 彼の手元にあるのは、三回生の物であることがわかった。授業態度は確かに良くはなかったし、そういったあくまで噂はあったのだ。しかし、彼等の実力で言えば三回生の中の上にあたる。それを入学式当日の一回生が、三回生を撃退するなと前代未聞である。 ーー面白そうな事になりそうだ、と教員はほくそ笑んだ。
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