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春。それは、始まりの季節。
アーテア共和国の首都ベルサイユに居を構える公立ベルサイユ魔術院には、真新しい制服に身を包んだ若者とその保護者が集いつつある。
今日は入学式。公立ベルサイユ魔術院……以下魔術院では第25期生の入学式の為に街をあげてお祭り騒ぎである。
そんな魔術院の校門前に炎の様に赤い髪、元気を印象付ける短い短髪、翡翠色した瞳に猫のような目をした見た目活発そうな少年が口を半開きにして唖然とした様子で立っていた。
「す、すげー……」
そう呟いて少年は前後左右、上下を確認し再度、
「す、すげー……」
と呟いた。田舎の出であろうか、初めて見るものばかりに目を燦々と輝かせている。彼もまた魔術院に入学する生徒の一人であろう。
厚手の黒いジーンズ生地の制服に身を包んだ彼は、よし、と呟き群衆に紛れるように校門を潜った。
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