始まりと集い。

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赤髪の少年が校門を潜った時と同じくして、魔術院の入学式に賑わっている街中を一人の少年は歩く。 濃紺の髪に黒曜石の様な黒い瞳。知的な印象を与える銀のフレームの眼鏡を携えた中性的な顔立ちの少年はどこ吹く風と言った様子で街を歩く。 「賑わってますねえ……」 唯の入学式にここまで賑わうとは、ベルサイユは商い魂を心に秘めた人に満ち溢れている様だ。 街を挙げてのお祝いのその裏、商人達は利益を上げることに躍起になっている様子である。 「ん?」 そんな街中の裏道に逸れるように、数人の若者が消えていったのを視界の隅に捉えた少年は、はあ、と溜息を吐き、彼等を追いかけるようにして賑やかな表道から裏道にそれて行く。
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