序章

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『良いか、温羅(うら)。お前は将来、この鬼の一族を統(す)べる者になるのじゃ。鬼は鬼らしく、鬼の道を外れる事もなく、人間との関わりを避けて暮らしていかなくてはならない』 「……どうして? 何故、人間と関わったらいけないの?」 『それは何れ、解る日がくる。良いか、温羅。一族を束ね皆が平和に暮らせるように、お前はそんな未来を造らねばならぬのじゃ』 「うん、解った。お父様、私、きっと立派な鬼姫になってみせる」 ……今は亡き父と交わした言葉が、今でも時々、妾(わらわ)の脳裏に浮かぶ。 父の言う鬼の道とはいったいどんな道なんだろうか? 何故に、人間との関わりを避けなければいけないんだろうか? ずっとずっと考え続けてきた。しかし、いくら考えても、その問いに対する答えは見つからない。
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