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梅雨の合間に、夏の暑い日差しが校庭を照り付け始めていた。晶子は三階の教室の窓から、気持ちよさそうに校庭を舞うシオカラトンボをぼんやり眺めていた。そして、二宮祐二の星天総合大学で、妖鬼忍者の蜷川周一の目を傷つけてしまったことを後悔していた。
晶子がビームソードで人を傷つけたのは初めてだった。アサカの力は自分の防衛本能が作り出すために、止むを得ないことと頭で分かっていてもどうしても気持ちは晴れなかった。
(本当に気をつけなければ、いつか人を殺めてしまうことになるわ)
そう思うと、自分に覚醒したアサカの力が恨めしくもあった。
その日の昼休み、晶子は朋美とイザベラ三人でいつものように晶子を真ん中にして屋上でお弁当を食べていた。
「いよいよ、東東京大会が来週土曜日に迫ったであります」
晶子の右隣に座るイザベラが野球部のニュースを披露した。
「甲子園には行けそう?」
晶子の問いにイザベラが答える前に、朋美が口を開いた。
「この前の春季都大会初優勝で自信はついたかも知れないけど、トーナメント方式は一回負けたらそこでお終いだから、油断大敵よ。イザベラ」
「そうですね。そのために、新しい体制を取ることにしました」
「どんな体制?」
晶子が興味を持った。
「監督クンを中心にした、情報収集体制であります」
「良平さんと秀太さんだけでは足りないの?」
「この前、春季都大会の反省会をやりましたが、その時秀太さんから提案がありました。結論を先に言いますと、他校野球部の情報収集を強化するために、二年生野球部員の中から四人選んで秀太さんとチームを組んでもらうことにしました。彼らにはWindowsのタブレットを一台ずつ渡してあるので、集めた情報はすべてデジタル化されて監督クンのデータベースに順次蓄積されます。こうしておけば、甲子園に行った時には五〇校近い代表校のデータを迅速に収集して監督クンに提供することができます」
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